文字の墓場

文字を書く練習だったり、読んだ本の感想を書いたり、そんなブログにあこがれます。

スマホアプリもレトロゲーも好きである

2019年、私はいまだにPSソフトを遊んでいる。


エミュレーターアプリをインストールし、PSソフトをisoファイルにして遊んでいる。
(ネットに流れているisoファイルをダウンロードするのはダメなので、必ず手持ちのPSソフトからisoファイルを作って遊ぼうね!)


で、最近遊んでいるのは音楽事務所経営ゲームの『SOLD OUT』だ。街にたむろするさまざまなミュージシャンをスカウトして、最高のバンドを作るゲームである。シンコーミュージックが作っているだけあって、本格的な作品になっている。出てくるミュージシャンたちは基本的に劇画チックというかリアルな顔立ちなので、萌え要素は一つもない。


出てくるミュージシャンの年齢は10代から60代までと、多様なところがいい。若者以外にも、中年・初老世代も出てくるのでリアリティがある。いくつになっても音楽が好きだ!音楽を極めたい!というガッツは、年を重ねなければ出せないもので尊いと個人的は思う。若者の熱意も心がグッとくるけれど、挫折や失敗を経験しても同じジャンルに取り組み続ける人もカッコいい。どちらが優れており、どちらが劣っているという視点はナンセンスであり、ありえたかもしれない可能性を潰すだけなのだ。


目的のためにバックグラウンドも思想も違う人々が協力し合う、そういうのって素敵。
(しかしゲーム内ではそのような濃いバックグラウンド描写はほとんどなく、全員が「ビッグになりてぇ、成り上りてぇ」という理由でバンドを結成する。多様性云々のくだりからはすべて私の妄想である)


実力があるのに売れないミュージシャンや過去に挫折を経験したメンバーを集め、バンドを結成させる。そしてスタジオで練習させ、小さなライブハウスから地道にバンドの知名度と人気を上げていくという流れなのだか、ミュージシャンたちは一癖も二癖もあるため思うように売れない。下記では登場ミュージシャンを少しだけ紹介する。


酒飲みでホームレスのベーシスト、恋人の家から叩き出されそうなヒモのギタリスト、契約の約束をすっぽかされてしょんぼりしている気弱なボーカリストなど、現実世界であればギャラの取り分で揉めそうなメンツが集う。他にもR&Bしか歌いたくない、ロックドラムしか叩きたくないとワガママを言うこだわりを持つ面々が揃っている。


音楽の趣向もまったく違い、合わないメンバー同士でバンドを組ませてしまうと、お互いに悪口を言いだすというリアルさ。イタリア人ボーカリストのFLASHくんに至っては、怒鳴るように他メンバーの悪口を言うので社長としては「なんで雇ってしまったんだろう」と思うばかり。
楽曲も作曲家から提供してもらわなければならず、正直飽きた。流れ作業過ぎて飽きる。


私が社長なのにメンバー同士のいさかいを止めることもできないので、フラストレーションだけが溜まっていく。現場と上の意見の相違ってやつかよ、社長には現場の辛さがわからないって言うのかよ。喧嘩すんな、喧嘩を。喧嘩してもいいけど実のある喧嘩をしてくれ!「あいつを辞めさせろ」とか「あいつのプレイは全然響かない」とか大声で言うんじゃないよ、お前だよFLASH!!!

27歳、イタリア人ボーカルのFLASHくん。よくキレる。

高野秀行『アヘン王国潜入記』

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)
アヘン王国潜入記 (集英社文庫)
集英社


数年前に買ったKindleをずいぶん長いこと放置していました。おかげで電池は切れ、誰の書籍をダウンロードしていたのか忘れていた始末。充電を終えて中身を確認してみると、高野秀行さんの『アヘン王国潜入記』が目に留まりました。


この本はミャンマーにあるゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)と呼ばれている麻薬栽培地帯を舞台にしています。この地帯で生産されているのはアヘン、さらに精製も行っておりヘロインや非合法のモルヒネも作っているそうです。アヘン系の麻薬と言えばミャンマー、という感じですね。


ゴールデントライアングルはミャンマーの他にタイとラオスも含まれているのですが、この2国はアヘンの生産量が少なかったそうです。それに加えてタイとラオス両国の政府がアヘンの生産を規制し、2国のアヘン生産量は激減しました。しかし激減したのは1980年代の話なので、2019年現在どうなっているかは不明です。


ミャンマーもタイとラオスにつられるかと思いきや、なんと生産量は右肩上がり。ゴールデントライアングル内でもっともアヘンを生産しており、事実上ミャンマーの一人勝ち状態。しかしミャンマーであれば、どこでもアヘンが育つという訳ではありません。ワ州という場所だったからこそ、あれほどまでの生産量をあげることができたのでしょう。日当たり、水、気候、どれをとっても最高!ワ州はアヘンを育てる条件が整っていたため、良質な麻薬が作れていたのです。


ここまで読み進め、ふと疑問が浮かびました。「政府は何しとるんだ?」という疑問がもたげてきました。

ミャンマー政府がアヘン生産を規制しなかった理由

タイとラオスの政府は、アヘンの規制に成功しました。前述で述べたとおりこの2国はアヘンの生産量が芳しくなく、利益もそれほど上がっていなかったのです。そのため政府は「このままゴールデントライアングルのイメージを持たれ続けてもいいことないしなぁ……よっしゃ、いっそのことアヘンを規制して国際社会の評価を上げようぜ!そうすりゃ海外からの援助も投資も期待できるじゃん!」と考えたのです。


ミャンマー政府も追従するかと思いきや、そうはいきませんでした。なぜならワ州は反政府ゲリラが支配しており、ミャンマー政府の手が及ばない場所だったからです。ミャンマー政府が「ケシの栽培をやめろ!アヘンを作るな!」と言ったところで、反政府ゲリラが素直に従う訳もなく、アヘンの生産を続けていきました。


ワ州は土地の関係から収入を得るための農作物を作ることが困難です。さらに言うと、住民たちが食べるための作物も危うく、どうしてもアヘン生産で収入を確保しなければならない状態でした。反政府ゲリラ軍はアヘンやヘロインに税金をかけ、利益を上げて生きていたのです。

高野秀行さんはアヘンを栽培しゴールデントライアングルへ

高野秀行さんはそんなゴールデントライアングルで「ケシの実を栽培してアヘンを収穫してみたい」と思い立ち準備を進めていました。Wikipediaやウェブ記事では感じ取れない「生」のゴールデントライアングルを取材しに行ったのです。


日本ではケシの実を栽培することも、アヘンを作ることも許されてはいません。麻薬の存在は絶対的な悪です(大麻の扱いはこれから先どうなるかはわかりませんが、現時点では悪と言えます)。しかし麻薬を作らなければ生きていけない、生活していけない人がいるのも絶対的な事実。この本を読むにあたって、私は善と悪という概念を一時的にごみ箱へとダンクシュートしました。


この『アヘン王国潜入記』はそういった感情を入れて読むシロモノではなくレポートとして淡々と読む方がいいでしょう。高野秀行さんが何を伝えたいかがわかりやすいと思います。「〇〇という人物が××のルートを使って麻薬をうんぬんかんぬん……」という冷静な情報よりも、ケシを栽培しアヘンを収穫している人たちがどのような生活を送っているのか、何を食べて飲んでいるのか、どんな遊びが好きかといった人間臭い日常が詰まっているのがこの本です。


ちょっと書きたいことがとっ散らかってきたので、次の記事でまた書きます。

恥をかくのが死ぬほど怖いんだ

サレンダー橋本さんの書いた漫画です。最初はオモコロに掲載されていた4コマ漫画を読んでいましたが、紙の本が出ていると知ってすぐに購入。どんな内容かふわっと言うと、学校の図書館に置いていたらPTAが激怒する、保護者の方がクレームの電話を入れる、これくらいしか言えません。


『恥をかくのが死ぬほど怖いんだ』収録リスト

  1. 全員くたばれ大学生!~でも本当はうらやましい~
  2. 初対面のサブカルの互いの知識の探り合い
  3. 新社会人よ、窓際を目指せ
  4. 行ったことないから想像で適当に描いたクラブのワンナイトラブ
  5. PTAのバージンメイデン~貞操の墓場に射す光~
  6. アニマルファッカー健~最終話
  7. 男たちの朝食バイキング~その腹、裂けるまで~
  8. 新社会人よ、それでも窓際を目指せ
  9. おっぱいダウザーおろ香~私が油田を掘り当ててからというものの~


個人的に共感できた話は『行ったことないから想像で適当に描いたクラブのワンナイトラブ』です。受付では使う予定のコンドームの数を聞かれ、クラブ内では読モとジャニーズが乱交パーティー、トイレの個室は簡易ラブホテルと化し、バーでは違法ドラッグ入りウイスキーが振舞われる……
(すべてサレンダー橋本さんの想像によるフィクションのクラブです。最近はクラブの健全化が進み、違法ドラッグの取り締まりやトイレ内での性行為に厳しいそうです)


クラブに対して確かにこういうイメージ持ってたなー……私の心にドンピシャのネタだったので共感指数も爆上がりでした。


他の話も感想を書きたいところですが、ネタバレになってしまうと思うので割愛します。またサレンダー橋本さんの新刊が出たら買おう。